「Do not use AED」アクリルキーホルダー制作決定!
このたび、私たち陰核派は「生きてAEDの辱めを受けること勿れ」という真の武士の心を持つ女性たちを応援するべく、「脱がされるくらいなら潔く死ぬ Do not use AED」アクリルキーホルダーを制作いたしました!!
5/11(日)の文学フリマ40にてこちらのグッズを頒布します🐿

※制作中のイメージです(デザイン:でぃー)
制作に至った経緯
昨今、X上で女性に対するAED使用が物議を醸しています。「AEDを使用すると訴えられる」という噂が飛び交い、真偽不明ですが、実際にAEDの使用を躊躇う男性まで現れているようです。しかし、本当にそんなことで訴えようとする女性はいるのでしょうか。フェミニストのせいでそうなっているとすれば、それはもう、陰核派の責任に違いありません。すみません。
2025年2月20日に放送されたAbemaプライムで、AEDを使って助けた女性から強制わいせつの被害届を出されたという男性のSNSの投稿が取り上げられました。放送終了後視聴者から、これはデマではないかとの指摘が起こります。再調査の結果Abemaは「完全な裏付けを取るのは困難という結論に至った」というコメントをHP上にひっそりと掲載しました。これは無責任な態度に思えます。

AED使用時にまで女性への配慮を求めるような発信を行なった人々は確かに軽率だったかもしれません。しかし、だからと言って「じゃあもうAED使わない!」というのはガキの拗ね方です。彼らXご意見番たちの曲解はさらに膨れ上がり、「フェミニストは裸見られるくらいなら死んだ方がマシと言っている」ことになってしまいました。
「裸を見られるくらいなら死んだ方がいい」なんて考える女性は本当にいるのでしょうか。この精神の退廃した現代において、そのような「真の武士」の美学を備えた気高き女性がいるとしたら、それは素晴らしいことです。ですが、残念ながらこの価値観は一般的ではありません。
AEDはこれまで、少なくとも8000人以上の人々の命を救ってきました。人口の半分が女性だとすれば、単純計算で4000人の女性がAEDの恩恵に預かったことになります。その中に「真の武士」が一人でも紛れていたら……!というような心配をするのは本当に現実的でしょうか。(そんなありもしない仮定の存在を恐れているからアンチフェミなんかになるんだ、とも言いたくなります。)
しかし、「いない」と結論づけるのは早計です。もしかしたら本当にいるのかもしれません。私たち陰核派は、そんな「真の武士」としての生き方こそを肯定したい。
そもそも、街中でいきなり倒れた人に対し、AEDを使用する判断ができる人はそう多くはありません。日本AED財団の調査によれば、心停止後のAED使用率はたったの5%だといいます。これは無理からぬことです。私にも使える自信がありません。AEDを使うことをまるで義務のように喧伝するのは、日本医療界の傲慢です。
要する人間は、心臓が止まったら死ねばいいのです。そこに男女は関係ありません。一人の人間の命は、都会のいち通行人に負わせるには少々重すぎます。AEDなんて別に使わなくてもいい。命に対する過保護が、私たちの私たちの生を生きづらいものにしているというミシェル・フーコーの指摘は正しいです。
ですが、もしもAED使用にまで至れる奇特で献身的な通行人が現れたとしたら。倒れたのが女性であるという理由で使用を躊躇してしまうようなやはり事態は避けねばならないでしょう。遠慮なくブラでも何でもひっぺがし、AEDを使用していただきたいところです。願わくば、凡俗の一般女性と「真の武士」を見分けることができたなら……。
今回の「Do not use AED」アクリルキーホルダーはそんな思いから制作しました。江戸時代においても、武士はいついかなるときも腰に帯刀し、自らが武士であることを庶民に知らしめたものです。ですから、このマークを見かけた時には、その女性に敬意を表し、例えその女性が生命の危機に陥ったとしても、衣服を脱がし裸体を衆目に晒すようなことはしないようお願いいたします。
(仁科夏瑚)

人類は凡庸だ。女性の大部分は男性の大部分より優れてもいなければ劣ってもいない。彼らは平等だ。どちらも等しく軽蔑に価する。
ヴァランティーヌ・ド・サン=ポワン『未来主義女性宣言』